愛岐トンネル群を観賞する。
 
 
 
 愛知県名古屋市守山区の県道15号線(通称:竜泉寺街道)を瀬戸市方面に走ると、
やがて道は国道155号線との重複区間に入り、
行政区分も瀬戸市となる。
さらにしばらく走ると鹿乗町交差点で国道は瀬戸市街方面に向かい、
多治見方面が県道15号線になる。
 
この県道15号線のここから、
国道248号線平和町5交差点までの区間が
通称「愛岐道路」と呼ばれる道で、
もとは有料道路だった経緯もあり
閉鎖道路っぽい雰囲気(途中にはちゃんと信号交差点も存在する)を醸し出している。
 
この愛岐道路は職場からも気軽に向かえる場所にあるため、
よく走りに行くことがある。
と言っても別に何があるわけでもないので、
単に停められることのない連続走行を楽しむだけなんですが。
 
仕事終わりに向かうと当然夜のため景色を見ることはできませんが、
たまに昼間に走行することがあったりもします。
 
ここはもと有料道路ですが、
庄内川(土岐川:県境で名前が変わる)の左岸に造られた道は、
落石崩落の危険性を含んだ道路で、
どちらかというと抜け道的要素を強く醸し出していたりする。
さっきまで春日井市の街中にいたはずなのに、
ちょっと走っただけでもう山の中
(といっても愛岐道路自体には大きな勾配はありません)
にいるという違和感。
 
この道を好きと思う理由はそんなところだと思う。
 
きゃっ!
好きって言っちゃった!
 
 
まぁそんな訳でこの愛岐道路は通る機会があれば積極的に走っているわけですが、
数年前のある日、
対岸に目を向けるとあるものが目に入った。
 
それは茂みの中から見えるレンガ造りの構造物だった。
 
あれ?
確か対岸にはJRの中央本線が走っているはず。
ということはJR線のトンネルかな?
 
そう思ったがどうにも深い薮の中に線路があるようには思えなかった。
 
ひょっとして旧道か?
 
地図で確認すると、
JRの中央本線は長大トンネルで一気に山を越えている。
そこで予想では、
・旧道が対岸にあったのではないか?
・それは愛岐道路の旧道なのでは?
・ひょっとして大発見?
 
そんな予感を感じながらその日自宅に帰ってから、
ネットでいろいろ調べてみたら、
半分当たって半分はずれてた。
 
 
 
 
 対岸に見えるトンネル
 
 
結論から先に言うと、
この構造物は国鉄の旧トンネルだった。
しかも有名物件。
『愛岐トンネル群』と呼ばれていたりする。
庄内川右岸にはJR中央本線が走っています。
現在春日井市の高蔵寺駅と多治見駅の間の区間は6本のトンネルで通過しているんですが、
これがかつては14本のトンネルで抜けていたらしい。
しかし路線の複線化にともない新しいトンネルが掘られ、
線路の付け替えが行われたため旧トンネルは廃線となってしまいました。
 
14本の廃トンネルと廃線跡、
これはちょっとすごいぞ。
と言ってもこの廃トンネル群は市街地からも近く、
その存在自体が知れ渡っているためネットでの探索記録が数多く存在します。
自分も見に行ってみたいから参考にとそれらを見せていただくと、
みんな薮を掻き分けて急斜面を上りトンネルにたどり着いている。
 
うわぁ・・・、
けっこう大変そうだなぁ。
 
正直な感想だった。
 
さてこのトンネル達は高蔵寺駅側から1号、2号と名前を付けられていて、
その内高蔵寺駅側の2本のトンネル(1号・2号)は現在でもJRが所有している。
倉庫として活用しているとのことです。
そして9号トンネルが破壊されその跡地に古虎渓駅が造られている。
 
う〜ん。行きたいな、どうしようかな。
 
と、悩んでいたらある情報が舞い込んできた。
 
3号から6号までを重文級産業遺構として
保存しようと言うムーヴメントがあるらしい。
NPO法人:愛岐トンネル群保存再生委員会
の活動がそれだ。
 
トンネル保存会?
何それ?
 
その活動を知って驚いた。
なんとこのトンネル群を買い取ってしまおうと言うのだ。
しかもその活動の一環として、
期間限定で一般解放を実施しているという。
 
これはいい。
よしこれに参加して
安全にラクに見学しよう。
 
今年の一般解放は4月26日〜5月2日まで、
そんな訳で2010年5月1日に現地を訪問してきました。
 
 
ちなみに 
さらに調べると、
確かに庄内川右岸には旧道も存在した。
それは愛知県初の有料道路だったらしい。
玉野古道という。
これに関しては今回別の話なので、
探索は行ってません。
また機会があれば再訪問してみます。
 
 
 
 
 
 
 
↓JR中央本線の高蔵寺駅と多治見駅の間のトンネル群
9号がありません。
 NPO法人 愛岐トンネル群保存再生委員会製作の3号から6号(一般解放区間)のマップ
 
 
 
 
定光寺駅なう 
JR中央本線の定光寺駅にやってきた。 
この日は電車移動で訪問です。
というのも現地には駐車場がなく、
NPO事務局も電車利用を推進していたので、
それに同調しました。
電車の旅もたまには楽しいもんですよ。
 
 
 
駅は秘境駅一歩手前という感じの佇まいで、
普段は静かな無人駅のはず。
でもこの日は違いました。 
対岸に見える道路が愛岐道路です。 
写っている橋が城嶺橋(こちらは近代土木遺産Aランク登録)
 昭和12年3月完成のRC開腹アーチ橋です。
 
 
予想外に人が多い。
普通電車しか停まらない無人駅に似合わない人の数 が降り立っています。
こんなに影響があるとは思ってませんでした。
一般解放、そんなに人気か?
 みんな廃線好きだったんですね。
言ってよ、早く!
 
  
駅の階段を降りると駅員が数人まさに待ち構えていました。
乗車券の回収と、
帰りの切符の購入を促していたりしてました。
みんなこのイベントのためにこの駅に派遣されてきたんですよね。
炎天下に制服着てご苦労様です。 
JRの本気を感じた瞬間。
 そういえばこの定光寺駅はホントは普通しか停まらないんですが、
この日は快速も臨時停車してました。
いいぞJR!
 
 
 この階段の上が下り(名古屋方面)のホームで、
写真真ん中の踊り場からトンネルで反対側のホーム(上り:多治見方面)への階段に向かいます。
この人↑
真ん中に写ってますが、
自分撮りしたわけじゃないです。
まったくの他人です。 
 
 
さて駅を出て北に向かうと一般解放区になるんですが、 
 その前にJR所有の1号トンネルと2号トンネルの紹介を、
この↓のように定光寺駅のすぐ南側に今も残っています。 
 
 駅から城嶺橋を通り過ぎて庄内川沿いを南下していくと、
東海自然歩道との分岐点にたどり着きます。
それを山側に右折してみましょう。
 
 
そこには鉄橋が架かっていたりしますが、
あ、JRってこんなに近いとこ通ってたんだ、
とか思ってよく見ると?
あれ?単線じゃ?
これが1号と2号の間の鉄橋になるんですが、
まぁJRの管理物件なんで勝手に入ると不法侵入になってしまいます。
今回この2本は非公開ですので、
見れませんでした。
残念。 
 
 
 さてそれでは一般公開区間に向かいましょう。
定光寺駅から北に庄内川沿いを進みます。
そういえばこの日は暑かったです。 
 
 
やがて目の前に管理施設(といってもテントですが)が見えてきました。
ここには仮設トイレと、
物販ブースに運営事務局のテントがありました。
ここで入場料(?)の¥100を払います。
さらに再生基金として¥1,000を寄付すると、
旧国鉄の硬券切符の復刻版がもらえるというので
迷わず(うそ、ちょっと迷った)寄付しました。
 
さぁ、それではさっそく見せてもらいましょうか。 
 
 
【次回予告】
 眠りから醒めた3号トンネル
これはいいものが見れた。
 
そう感じました。
 
そしてその先には・・・。
 
 
 
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